ホルムズ海峡が封鎖された日。米・イスラエルのイラン攻撃で日本が直面する現実

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原油タンカーの約20%が通過するホルムズ海峡が、今、事実上封鎖されている。日本が輸入する原油の約9割は中東依存だ。数字にすると、エネルギー安全保障の話は途端に他人事でなくなる。

2026年2月28日、米国とイスラエルは「エピック・フューリー作戦」「ユダの盾作戦」などのコードネームのもと、イランへの大規模軍事攻撃を開始した。核施設への精密爆撃から始まり、イランの最高指導者アリー・ハーメネイーが死亡。その後12日間にわたる激しい交戦の末、3月上旬に停戦合意が発表された。メディアはこれを「12日間戦争」と呼ぶ。

なぜ今なのか。背景を三層に分けて整理する。

第一層は核問題だ。攻撃直前、米国とイランはジュネーブで協議を行ったが決裂した。イランはウラン濃縮を続け、核兵器完成まで「数週間」とも言われる状態にあった。イスラエルにとって、これは存亡に関わる問題だ。第二層は地域覇権争いだ。イランは長年、ヒズボラやフーシ派などの代理勢力を通じて中東全域に影響力を伸ばしてきた。第三層は国内事情だ。2025年末からイラン全土で反体制デモが激化し、1979年の革命以来最大規模に達していた。政権の求心力が落ちたこのタイミングを、米・イスラエルは「好機」と判断したとされる。

「え、そうなの?」と思ったのは、イランの小学校が爆撃を受けたというニュースだ。少なくとも175人が死亡し、犠牲者の大半は7歳から12歳の女子児童だったと報告されている。民間人の死者は1000人を超えた。軍事目標への精密攻撃という建前の裏で、何が起きていたのかは、停戦後も問われ続けるだろう。

日本に例えるなら、東京湾の入り口が封鎖された状態だ。ホルムズ海峡の封鎖は、日本のガソリン価格を即座に押し上げる。原油10ドルの上昇でガソリンは月に約400円、年間では約5,000円の負担増になる。今回の事態では一時的に原油が50ドル以上急騰したとも報じられており、家庭と産業への影響は極めて深刻だ。

英仏は空母を中東に派遣し、湾岸諸国も当事者として巻き込まれた。かつて「局地紛争」で済んでいた構図はもはや通用しない。日本の高市首相は3月19日にワシントンでトランプ大統領と会談するが、このタイミングで訪米するということの意味を、国内はどれだけ真剣に受け止めているだろうか。

今後のシナリオは二つに分かれる。一つは、ハーメネイー後のイランが内部対立に陥り、地域の代理勢力が統制を失う「カオス型」。もう一つは、対米・対イスラエルの怒りが国民感情として固まり、新たな指導体制のもとでより強硬な路線が続く「強化型」。どちらに転んでも、ホルムズ海峡の安定は今後数年、確約できない状態が続く。

エネルギー安全保障、同盟関係、外交の余地——日本が今問い直すべき問いは、実は戦争が始まる前からそこにあった。

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