原油価格が1バレル100ドルを超えた。3月19日、NHKが報じたところによると、ニューヨーク原油先物市場で価格が一時100ドル台に達した。2022年のロシア・ウクライナ戦争直後以来、約4年ぶりの大台だ。直接のきっかけは、イランがカタールの液化天然ガス(LNG)施設を攻撃したことだ。イランは自国のガス田が攻撃を受けたことへの報復として、カタールのLNGインフラを標的にした。中東のエネルギー紛争が、石油だけでなくLNGにまで広がった。
なぜカタールが巻き込まれたのか。カタールは世界最大級のLNG輸出国であり、日本にとっても重要なLNG調達先だ。イランから見ると、カタールは米国・イスラエル寄りの湾岸諸国の一角として映っている。自国のガス田が攻撃されたことへの「等価交換」として、カタールのLNG施設を狙った。これはエネルギー施設同士の報復戦であり、紛争の性質が一段階エスカレートしたことを意味する。
日本のLNG調達にどう影響するか。日本は世界第2位のLNG輸入国で、年間約7,000万トンを輸入している。そのうちカタールからの調達は約10%だ。カタールのLNG施設が稼働停止や減産に追い込まれれば、LNGのスポット価格が急騰する。これは電気代とガス代に直結する。ガソリン価格だけでなく、光熱費全般が上がるシナリオが現実味を帯びてきた。
同日、FRBの決定も日本経済に追い打ちをかけた。FOMCはまたしても利下げを見送り、パウエル議長は「インフレの進展がなければ利下げはない」と明言した。NYダウは768ドルの大幅反落。年内の利下げ見通しは2回から1回に後退した。一方、日銀はイラン情勢を受けて金融政策を維持(据え置き)した。日米の金利差は縮小せず、円安圧力が続く。片山財務相は「非常な緊張感」と述べた。
明日20日未明、高市首相がトランプ大統領と会談する。ホルムズ海峡の問題、原油100ドルの現実、ガソリン激変緩和措置の開始。すべてが同時に動いている中での日米首脳会談だ。トランプ大統領が「同盟の試金石」と呼んだホルムズ海峡への日本の対応が、まさにテーブルに載せられる。高市首相にとっては就任以来最大の外交試練になる。
あなたの電気代・ガス代・ガソリン代。全部が同時に上がる可能性が出てきた。原油100ドル、LNG施設への攻撃、FRBの利下げ見送り、円安。この4つが重なると、家計への影響は月数千円〜1万円規模になりうる。政府のガソリン激変緩和措置は今日から始まったが、LNG価格の上昇には別の対策が必要だ。エネルギー問題は、もはや中東の戦争の話ではない。あなたの来月の光熱費の話だ。


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