トランプの共和党がイラン問題で割れてきた。これは思ったより深刻な亀裂だと思う

トランプの共和党がイラン問題で割れてきた。これは思ったより深刻な亀裂だと思う 中東

共和党内に異変が起きている。少し前、BBCが興味深い記事を出した。「イランをめぐる戦争がトランプの共和党連合の亀裂を露わにした」というタイトルで、要するにトランプ支持者の中でもイランへの対応について深刻な意見の割れが生じている、という内容だ。コアな支持層はトランプについていっているが、共和党員の中の相当数が今の路線に疑問を持っているという。これは単なる内輪揉めじゃなく、アメリカの対外政策の根っこに関わる話だと思って、しばらく考えていた。

孤立主義と介入主義のせめぎ合い。今の共和党の亀裂を理解するには、トランプが第一期から掲げてきた「アメリカ・ファースト」という思想の本質を見ておく必要がある。あれは基本的に「他国の問題に首を突っ込むな、お金も血も使うな」という孤立主義的な立場だ。中東の戦争に兵士を送り続けて疲弊したアメリカ国民には、その主張は刺さった。ところが今回のイラン問題では、強硬な軍事行動への期待と「もう中東はこりごりだ」という感情が共和党内でぶつかり合っている。熱烈な支持者はトランプの判断なら何でも信じるが、現実的に政策を考える層は「これで何を得るのか」と立ち止まっているわけだ。共和党がもともと持っていた「強いアメリカ外交」路線と「不要な戦争を避ける」路線の矛盾が、一気に表面化している。

共和党の「強さ」という伝統的価値観。アメリカ共和党には、外交において強硬で積極的な姿勢を良しとする長い歴史がある。冷戦時代のソ連封じ込め、湾岸戦争、イラク戦争、いずれも共和党政権が主導した。強い軍事力を背景に世界秩序をアメリカが主導するという発想は、党のアイデンティティの一部だった。その一方で、トランプが取り込んだ層には「ワシントンのエリートが起こした戦争に地方の若者が死ぬのはもうたくさんだ」という怒りがある。どちらも共和党の本音だからこそ、イランという具体的な問題の前で分裂する。これは正直きつい状況だと思う。どっちに転んでも党内の誰かが傷つく。

X上でも議論が沸騰している。X(旧Twitter)で「How the Iran」と検索すると、この亀裂について様々な反応が出てくる。「トランプは裏切り者だ」「いや今回の判断は正しい」「これが孤立主義の限界だ」といった声が飛び交っていて、共和党支持者同士が本気でやり合っている。アメリカの政治議論の激しさというのは、見ていて呆れることもあるが、それだけ当事者意識が高いということでもあって、そこは素直にすごいと思う部分だ。

日本への影響は原油価格と安全保障の両面。この問題、日本には直接的な影響がある。まず原油だ。日本は原油の中東依存度が非常に高く、ホルムズ海峡周辺が不安定になると即座にエネルギーコストに跳ね返る。現に過去の中東緊張局面では日本のガソリン価格や電気代が上がり、家計と企業活動を直撃してきた。そしてもう一つ、アメリカの外交が「共和党内でも方向性が定まらない」という状況は、日米同盟の先行きに対する不確実性を高める。日本外交はアメリカの強いコミットメントを前提に設計されている部分が大きいから、ワシントンの政治的混乱は対岸の火事じゃない。

ポジティブとネガティブ、両方のシナリオ。楽観的に見れば、共和党内の孤立主義的な声が強まることで、アメリカがイランとの全面的な武力衝突を避ける方向に動く可能性がある。戦争回避のブレーキが内側からかかるわけで、それは中東の安定にとってプラスに働きうる。そうなれば原油価格への圧力も緩み、日本経済にとってもひと安心というシナリオだ。一方で悲観的に見れば、トランプが党内の分裂を抱えたまま強硬路線に踏み込んだ場合、中東情勢が一気に悪化するリスクがある。統一感のない指導部のもとで行われる軍事行動ほど怖いものはなくて、「やるのかやらないのかはっきりしない」という状態がむしろ周辺国の誤算を招くことがある。さすがにそのシナリオはおかしくないかと思うが、歴史的には似たようなケースが何度もあった。

カギはトランプが党内をまとめられるかどうか。今後を見るうえで最も重要なのは、トランプが孤立主義派と介入主義派の両方を納得させる「落としどころ」を見つけられるかどうかだ。外交的な圧力を最大化しつつ、実際の軍事行動には踏み込まない「見せ方の強さ」で乗り切るというのが、トランプの得意技でもある。共和党内の批判的な声が大きくなれば、それが逆に過度なエスカレーションへの歯止めになる可能性もある。日本としては、エネルギー調達先の多様化を着実に進めながら、アメリカの外交の揺れ幅をリアルタイムで読み続けることが重要になるだろう。波乱含みの展開が続くが、判断の速さと情報の精度が日本外交・経済政策の鍵になる局面だ。

出典:BBC World

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