エプスタイン事件にブラジルが絡んでいた。これは想像以上に根が深い話だった

またエプスタイン関連の新事実が出た。BBCが報じたこのニュースによると、かつてジェフリー・エプスタインの性的搾取に巻き込まれたブラジル人女性たちが、モデルエージェントを通じて勧誘されたと証言したという。しかも単純な「スカウト」ではなく、複数の事業体を経由して米国ビザの取得まで手配されていたというから、かなり組織的な動きだったことがわかる。エプスタイン事件は一度「解決済み」のように扱われかけたが、こういう報道が出るたびに「これはまだ氷山の一角だ」という感覚を強くする。

モデル業界を「入口」に使った組織的犯罪。女性たちの証言を自分なりに整理すると、こういう構図が見えてくる。ブラジル国内で活動するモデルエージェントが、若い女性や少女に「アメリカでのモデルの仕事」という夢を見せて接触し、ビザ申請に必要な書類や手続きを「サポート」する形で米国への渡航を手配する。そしてその先に待っていたのがエプスタインだったということだ。ビザの手配まで含めて組織的に動いていたとなると、これはエプスタイン個人の犯罪というより、複数の関係者が役割を分担した一種のネットワーク犯罪として見るべきだろう。にもかかわらず、そのネットワークの全体像がまだ十分に解明されていないことが、この事件の最も不気味な部分だと思う。

なぜブラジルだったのか、という背景。なぜブラジルの女性たちがターゲットになりやすかったのかを考えると、いくつかの構造的な理由が浮かぶ。ブラジルは世界的にも屈指のモデル輩出国で、サンパウロやリオ・デ・ジャネイロを拠点にしたモデル業界は国際的なつながりを持っている。一方で、経済格差が大きく、地方出身の若い女性が「海外でのチャンス」に強く惹かれる環境がある。ブラジルという国は、人々の明るさやたくましさ、多様な文化が混ざり合う豊かさを持った魅力的な社会だ。だからこそ、その豊かな人材と夢を悪用しようとする人間が現れることが、本当に腹立たしい。良い社会の「良さ」を狙い打ちにする犯罪の卑劣さを改めて感じる。

SNSでも反応は激しい。X(旧Twitter)で「Epstein used modelling」と検索すると、「なぜモデルエージェントが今も捜査されていないのか」「関係者リストの完全公開を求める」という声が英語圏を中心に多数流れているのが確認できる。日本語でもエプスタイン関連の話題は根強い関心を持たれており、「まだ続いているのか」という驚きと「やっぱりそうか」という納得感が混在しているように見える。この件に対する世界的な不信感は、単に事件そのものへの怒りを超えて、「権力や富を持つ人間が司法の外側で動いている」という感覚への不信感に広がっている。

日本への直接的な影響は薄いが、無関係でもない。このニュースが日本の経済や日常生活に直結するかというと、そこは正直薄い。ただ、全く無関係とも言えない。日本のファッション・モデル業界もブラジルを含む海外からのモデル受け入れが一定規模で行われており、ビザ手配や就労契約の透明性という観点では、「日本も他人事ではない」という目線を持っておく必要はある。また、エプスタイン事件全体が持つ「米国の法と権力の信頼性」への問いかけは、日米同盟を基軸にする日本の外交・安全保障の文脈でも、間接的に意味を持つ。日本社会が持つ「ルールを守る」「組織の透明性を重視する」という文化的な強みは、こういった国際的なスキャンダルが続く中で、相対的に価値が高まっていると思う。

ポジティブとネガティブ、両方のシナリオがある。ポジティブなシナリオとしては、BBCのような大手メディアがこうして継続的に新証言を掘り起こすことで、モデル業界を経由した人身売買的なネットワークに対する国際的な規制強化が進む可能性がある。米国だけでなく、ブラジルを含む各国の当局が協力して、エージェント契約やビザ手配の透明性を義務付ける動きにつながれば、被害の構造そのものを壊すことができる。一方でネガティブなシナリオとしては、関係者の多くが「ビジネス上の接触だった」と言い逃れをし、当時の記録や証拠の時効・散逸によって、実質的な責任追及が進まないまま風化してしまうリスクもある。これは正直きつい。権力に守られた人間が「時間が解決してくれる」のを待つという構図は、過去にも何度も繰り返されてきた。

鍵を握るのはブラジル当局の動きだ。今後の展望として最も注目すべきは、ブラジル側の司法・捜査機関がどう動くかだろう。証言した女性たちがブラジル国内での法的手続きに乗り出すか、あるいはブラジル当局が独自に関係したモデルエージェントや事業体を調査するかどうかが、この問題を単なる「昔の話」で終わらせないための分岐点になる。米国では関係者リストの開示を求める動きが司法の場でも続いており、国際的な連携が実現すれば、ネットワークの全体像に迫る可能性はまだある。エプスタイン事件は終わっていない。むしろ、新たな証言が積み重なることで、ようやく本当の解明に向けて動き始めているフェーズにあると見ている。

出典:BBC World

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